City of girls

私はニューヨークシティが大好き。

21歳の時初めて一人旅で訪れ、エネルギッシュで多様な側面を持つ街の虜になった。そんなこともあり新しく本買うとき、”ニューヨーク”というワードにつられて興味を持ったものをそのまま購入することもある。

 

エリザベス・ギルバート著、那波かおり訳の「女たちのニューヨーク City of girls」もそんな経緯で手に取った小説の中の一冊。

物語は始まりは1940年。主人公で良家の娘ヴィヴィアンは大学を退学になったことがきっかけで家を追い出され、20歳でニューヨークシティにやってくる。不自由なく育った彼女が、右も左も分からずシティにやってきた日から、ニューヨークシティが私の居場所だと確信するまでに経験した世のありさまと、当時の世間から見れば不完全でも愛さずにはいられなかった人々との友情を語る。

 

f:id:bellplage:20220331141833j:plain

今の私に勇気をくれたヴィヴィアンの言葉を抜粋。

 

「人はいろんなものをかかえて生きている。・・・・・・わたしたちは、わたしたちでしかあり得ないの、どうしようもなく。」

 

熟年の彼女が愛した友人の一人である、退役兵士のトラウマと自己嫌悪について聞いたときに発した言葉。

不完全で、愛することなんてできないと思われるような側面を持ちながらもそれがあなたで、あなたはそれでいいの、負い目なんて感じないで。みんな何かしら業を抱えていて、だからあなたを失望させるような言動をする人だっている。それはその人をそれほどに苦しめている何かだあるのだということ。

 

私自身つい最近、ある環境の変化がきっかけでもう人と関わりたくない(たとえそれが大切な家族や友達だとしても)という感情を持っていた。そうして大好きなはずの人たちをシャットダウンしてしまう自分が嫌で苦しくなっていた。そんなときにこの本を読んでヴィヴィアンの言葉に少し気持ちを楽にしてもらえた。

 

完ぺきではない自分も他人も、それがあるべき姿で、それが無くなってしまえばその人ではなくなってしまう。そう思うことで、自分のネガティブとも思える個性も受け入れようと思った。家族や友達、他人に対しても同じ。なんでこの人はこんなことするの?と感じたら、この人にも人には見えない困難があるんだろうな、と思って優しくなれたらいいね。

 

こんな感じのメッセージ性のほかにもこの本には魅力がたっぷり。

 

例えば、詳細なファッション描写は私がこの本を気に入った一つの理由。当初、主人公はニューヨークの劇場で衣装係の仕事をしているので、演劇衣装や俳優たちが身に着ける洋服について詳しく描かれている。ファッショナブルな登場人物たちがニューヨークシティで暮らす様子を想像するのはとってもわくわくして、今すぐあのきらびやかな街に飛んでいきたくなった。

 

あとは、第二次世界大戦最中の戦闘や一般の人々の様子と心情が、アメリカ人の視点から描かれているところも新鮮で、読む手が止まらなかった。

 

素敵な小説を初めて読んだ後には「まだ何も知らなかった頃に戻りたい」という感情に陥る。ワクワクしていたあの頃に戻りたい😌